メキシコ シティのサン イルデフォンソ学院は、イエズス会の聖職者によって 16 世紀に設立されました。イエズス会の聖職者たちが国外追放となってからは、このバロック様式の建物は軍本部として使用され、さらにその後には予備校としても使われていました。1990 年代に入ってからは、歴史的、政治的意義の高い優れた芸術作品を紹介する文化センターとして活躍しています。施設内には、フリーダ カーロの夫としても有名なディエゴ リベラの大作壁画や、その他 1920 年代の名高いメキシコ人芸術家たちの傑作が収められています。
建物内に入り、筒形アーチ型天井が特徴的な総会室や、複雑な彫刻が施された聖歌隊の台座が並ぶ通路を進みましょう。柔らかな照明が、建設当時の雰囲気をそのまま伝えています。この建物には、1899 年に作られたドイツのステンドグラス作品『Welcome』もあります。
ロビー エリアのすぐ隣には、リベラの最初の壁画『創造』が残る円形劇場があります。彼は、欧州訪問から帰国して 1 年以上経ってから、このスペースに壁画を描き始めました。完成したのは 1923 年のことだと言います。壁画は 90 ㎡ 以上もの大きさで、高さ 3.5 m もある大作です。リベラの後期の作風であるキュビズムよりも、より写実主義的な要素が見られます。
ホセ クレメンテ オロスコの 20 点以上ものフレスコ画も見逃せません。階段の下には 1926 年に描かれたエルナン コルテスとその愛人マリンチェの裸体像があります。オロスコが、スペインによるメキシコ征服をどのように解釈したのかがひしひしと伝わってきます。マリンチェは、アステカ帝国の滅亡を引き起こした裏切り者と考えられる一方、近代メキシコの母として評価されることもある女性です。
サン イルデフォンソ学院の博物館は、火曜日から日曜日まで開館しています。学生およびシニアの入場料は割引になり、12 歳未満のお子様は無料で見学可能です。また、火曜日には無料開放されることも多々あります。訪問時には、企画展のスケジュールもご確認ください。この学院はメキシコ シティの旧市街にあり、メトロポリタン大聖堂から北に歩いて 10 分弱でアクセスできます。