マドリード旧市街の門として、アルカラ門(プエルタ デ アルカラ) ほど世に知れ渡った門はないでしょう。1770 年代初期に時の国王カルロス 3 世の命で 1559 年建設の質素な門を取り壊して築かれたのが、現代まで残る壮大な門です。設計は王の信任篤かった建築士フランシスコ・サバティーニが担当し、フリーズからレリーフ、彫刻に至るまでの装飾はロベルトデミチェルとフランシスコ・グティエレスが担当しました。マドリードが発展・膨張を経た現在、アルカラ門は市の中央に位置していますが、当時はここが東の外れで、アルカラ デ エナレスに通じる主要街道とマドリードを区切るのに役立っていました。たくさんの道路が 1 つに出あうアルカラ門前に立ち、エレガントな新古典主義様式の構造を鑑賞してください。中央 3 つの半円形アーチの上にライオンの頭部像が施され、両端に 1 つずつ設けた長方形の門のアーキトレーブには豊穣の角 (コルヌコピア) のレリーフが彫り込まれているほか、 門の東側を柱が飾り、門の上からは寓意のこもった彫像が辺りを睥睨 (へいげい) しています。
高々と掲げられた王家の紋章、その下に彫られた文字は、ラテン語で「1778 年、国王カルロス 3 世 (にささぐ)」とあり、 石でできた壁面をつぶさに観察してみると、1800 年代初期に近くで爆発した砲弾の影響が残っています。門の周りの小さいながら完璧に手入れされた庭園を散策したり、逆に離れたところから、庭園ごと門を撮影したり。交通事情により、門のすぐ近くまで寄るのが難しい場合は、近隣のレストランやバー、ホテルから眺めるのが簡単です。夜はライトアップで別の魅惑的な表情を見せる門なので、夜の観覧もお忘れなく。アルカラ門はプエルタ デル ソルからカーレ デ アルカラ通り沿いにまっすぐ東進すると着きますが、エル レティーロ公園や地下鉄レティーロ駅からはすぐ隣です。門の観覧時間に制限はありませんが、エル レティーロ公園やグラン ヴィア、プラサ デル シベーレスに行く途中で立ち寄ると楽しめる休憩時間となります。