2 本の塔が目を引くグロスミュンスター大聖堂は、チューリッヒ屈指のすばらしい教会。今や、街を象徴する存在です。

チューリッヒが誇る歴史的建造物の中でもひと際目を引くのが、グロスミュンスター大聖堂です。「大教会」という意味を持つプロテスタント教会で、外観は美しいロマネスク様式で造られています。特徴的なまったく同じ形をした 2 本の塔はまるでツインロケットのようにそびえ、屋根の後方には血のように真っ赤な尖塔が突き出ています。優れているのは外観だけでなく、聖堂の内部には息をのむほど美しい装飾窓が張られ、ロマネスク様式の地下室が設けられています。グロスミュンスター大聖堂の建設工事が始まったのは 1100 年頃。その 110 年後に完成しました。大聖堂が建つ場所は、カール大帝がチューリッヒの殉教者であるフェリックス、レグラ、エクスペランティウスの 3 名の墓を発見した場所だといわれています。塔のてっぺんにはかつて木製の尖り屋根が付いていましたが、1781 年の火事で焼け落ちてしまったためネオゴシック様式の屋根に付け替えられました。空にそびえるその姿は今、チューリッヒを象徴する存在として人々に愛されています。グロスミュンスター大聖堂は、スイスの歴史においても極めて重要な役割を果たしてきました。16 世紀前半、フルドリッヒ・ツヴィングリ牧師は、この大聖堂を教皇制度から離脱させようと戦い、勝利を収めました。この出来事は最終的に、スイスドイツ語圏の宗教改革に繋がっていきます。この時期の歴史について学びたければ、大聖堂の宗教改革博物館へお越しください。月曜日～金曜日まで開いています。派手な装飾を禁止する宗教改革運動を反映して、大聖堂の内装のほとんどは控えめですが、中には目を引くすばらしい装飾品も置かれているので、ぜひご鑑賞ください。特に注目するべきものは、北と南の入口に備え付けられたオットー・ミュンシュの銅製の扉です。聖書に登場する場面や宗教改革の一部が細かく描かれた、見事な作品です。ジグマー・ポルケが手掛けためのうのステンドグラスも眼福もので、色とりどりのまばゆい光が身廊を明るく照らしています。聖堂内で一番歴史が古い地下室にも下りてみてください。黄金の冠をいただいたカール大佐の像が保管されています。 2 本の塔の内の 1 本、カールス塔は一般開放されているのでのぼってみましょう。チューリッヒの街並みと湖を一望する、他では見ることのできない絶景が臨めます。グロスミュンスター大聖堂はグロスミュンスター広場にあり、毎日開いています。観光客でもミサに参列することができます。不定期で音楽の演奏会が開かれるので、タイミングが合えばぜひお越しください。グロスミュンスター大聖堂に感銘を受けたなら、同じく街を代表する教会、フラウミュンスター教会 (聖母教会) と聖ペーター教会にも足を運ぶことをおすすめします。きっと気に入るでしょう。