クレタ海洋博物館は、5,000 年近くに及ぶクレタ島の海の歴史を知ることができるスポット。青銅器時代から 20 世紀までに至る史料や展示品を見てみましょう。
入口のホールには、1204 年から 1669 年までのヴェネツィア共和国による支配の時代に関する展示があります。時代ごとの要塞の模型や、ハニアの街の模型も見られます。入口ホール近くの展示室には、貝殻がぎっしりと並んだ棚や、難破船から発見されたアンフォラという名で知られる古代の陶器があります。
青銅器時代からローマ時代に海上交通に使われた船の模型を順に見ていると、船舶の形状の進化と発展が見てとれます。注目すべきは、ミノア人の船のレプリカ。青銅器時代に使われた船を基に復元されたものです。このレプリカの船で、2004 年にクレタ島とアテネの間で実験航海が行われました。ミノア文明の時代に同じような航海が可能であったことを証明するためです。
クレタ海洋博物館には、もっと現在に近い年代の海事史に関する展示もあります。1821 年から 1832 年にかけてのギリシャ独立戦争で活躍した提督や艦長の肖像に注目。20 世紀初頭に起きたバルカン戦争に関する写真、船の模型、海戦図なども見ることができます。
ホール全体が、第二次世界大戦、とりわけこのエリアの歴史にとって重要なクレタ島の戦いをテーマとしています。クレタ島の戦いでは、ギリシャ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの連合軍がクレタ島の民兵とともに、12 日間にわたってドイツ軍による大規模な空挺攻撃に対する防衛戦を繰り広げました。結果的に情勢は好転せず、連合軍はクレタ島からの退避を余儀なくされたものの、この戦いは圧倒的とみられたドイツ軍に対して善戦した抵抗戦として知られています。写真や武器、模型、録音史料を通して、この動乱期について詳しく知ることができます。第二次世界大戦期の魚雷船のレプリカや、駆逐艦の艦橋の模型なども見応えあり。
クレタ海洋博物館は、ヴェネツィアン ポートのフィルカス要塞の入口にあります。祝日以外は毎日開館。入場は有料です。ただし、学生割引あり。身体の不自由な方や 6 歳未満の子どもの入場は無料です。