投稿者 : マサヒコ カツセ、投稿日 2017 年 12月10日

【バックパッカーVS旅行代理店利用】どっちが最高か座談会

「旅に出る」と一言で言っても、いろんな手段を選ぶことができる昨今だ。

なかでも飛行機や宿泊先を自分で決めることで、安くて自由度が高い旅を実現するバックパッカータイプと、全て代理店にお任せ、自分で決断することは極力減らせる旅行代理店利用の旅は、対称的な関係に思える。

そこで今回は、旅をするときにバックパッカータイプを選ぶ人と、旅行代理店利用を選ぶ人を3人ずつ集めて、どちらがより素晴らしい旅行体験ができるのかを明らかにする座談会を開催することにした。
ぜひ、旅をする際の参考にしてもらいたい。

【座談会に参加する人】

バックパッカーチーム

竜ノ介シーシャカフェ・はちグラム の店主。インドが大好きなバックパッカー。
伊佐知美-Webメディア「灯台もと暮らし」編集長。バックパッカーじゃないと言い張るフラッシュパッカー。旅が好きすぎて、自宅を持たない暮らしをしている。著書に『移住女子』(新潮社) がある。
サカイエヒタ-コンテンツ制作会社ヒャクマンボルトの代表取締役。竜ノ介とインドまで二人旅をしたことがある。エッセイ本 が発売したばかり。

旅行代理店利用チーム

ありこ-竜ノ介の妻。シーシャカフェ・はちグラムの店員。
夫がバックパッカーなのに、基本引きこもりで人見知り。
早川大輝-編集プロダクション・プレスラボの編集者。
海外渡航経験ゼロ。パスポートも持っていないのに参戦。
カツセマサヒコ(筆者)-フリーライター。国内旅行すらツアーがいい派。

以上6名による、仁義なき「旅行ならこっちだぜ」対決が始まる。

シーシャ(水タバコ)カフェ・はちグラム

ちなみに会場は、吉祥寺のシーシャ(水タバコ)カフェ・はちグラムをお借りした。何故かバックパッカーのホームグラウンドみたいな場所での開催となり、旅行代理店利用チームからクレームが来たのは言うまでもない。

カツセマサヒコ
ということで、今回はバックパッカーと旅行代理店利用、どちらの旅が最高なのか白黒ハッキリさせたいと思います。先行は、バックパッカーチームで行きましょうか。

竜之介
まあ、聞きたいって言うなら、話すけど。
カツセマサヒコ
出た。バックパッカーのこういうところがムカつくんすよ。
サカイエヒタ
キレるのが早い。

バックパッカー派の意見その1:「360度、どこにでも行ける」

伊佐知美
じゃあ最初は、私から。バックパッカーの魅力って、いろいろあると思うんですけど。

伊佐知美
360度、どこに行ってもいい。行かなくてもいい。超自由なのが一番かなって。
わかる~~~~~~~!!
ありこ
さっそくわからない。
伊佐知美
たとえば香港に行ったら、ついでにタイとかラオスも行きたいって、思うじゃないですか?
ありこ早川
思わないな

竜之介
いや、思うでしょ。渋谷行ったら原宿にも寄る感覚でしょ?
早川大輝
飛行機に乗るんですよ? ハードルが違いすぎますよ。
伊佐知美
タイのドンムアン空港からラオスのルアンパバーンまで、50分・5千円で行けるんですよ? 即決でしょ?
ありこ
どこかわからないし、絶対に行かない。
サカイエヒタ
行くでしょ。5千円っすよ?
ありこ
値段とかじゃないんだよ。
伊佐知美
50分とか超近いじゃん。
カツセマサヒコ
いや、パスポートとか用意するの、面倒でしょ。

パスポートなんて、いつでも持ってるものじゃないの?

カツセマサヒコ
なんでバックパッカーって“自分たちが常識”みたいな顔すんだよ。
ありこ
わたしパスポート自体を持ってないし。
伊佐知美
話が合わな過ぎる。

バックパッカー派の意見その2:「同行者の性格がわかる」

サカイエヒタ
次は僕言っていいですか?
僕も最初はね、バックパックみたいのは怖かった。けど、一人旅じゃなくて、誰かと行くなら、絶対バックパックの方が楽しいと思う。
早川大輝
へぇーーー。
サカイエヒタ
で、これです。

サカイエヒタ
旅はねぇ、観光地を見るんじゃなくて、同行者を見るんですよ。
カツセマサヒコ
それ、別に旅じゃなくて、一緒に近所を散歩すればよくないですか?
サカイエヒタ
バカ。俺、竜さんのこと超知ってるよ?
カツセマサヒコ
バカって言った。
伊佐知美
2人は一緒に旅したことがあるんですか?
サカイエヒタ
うん。竜さんと2人でインド行ったんだけど、この人、マジでマイペースなんですよ。インド人に囲まれる中、グーグー寝ているし。途中寄った上海で、夜中の3時くらいにはぐれたこともあって。
竜之介
そんなことあったねえ。
伊佐知美
えー、怖い。
サカイエヒタ
Wi-Fiもないし、携帯もないし、ひとりでパニックになってたら、向こうからビッグマック食べながら堂々と歩いてくる日本人がいるの。それが竜さんだった。
カツセマサヒコ
なんでビッグマック。
サカイエヒタ
あれは超カッコよかったな~。
ありこ
迷子になった相手がマック食べて余裕そうに歩いてたら、普通はキレるでしょ。
サカイエヒタ
もうね、めちゃくちゃ強い人ですよ。僕の中で、「今この人一番頼れる人だ」って思った。

サカイエヒタ
そういう意味で、一緒に旅すると、相手の性格とか癖が出やすいんですよ。それも、バックパック的に自由に行動したときのほうが、困難を乗り越える喜びとかも大きいし、ツアーよりも顕著で面白いと思うんですよね。
ありこ
それは、ちょっとわかる気がするなあ。
サカイエヒタ
奥さんともバックパックでベトナム旅行行きましたけど、そのときは自分が竜さんになったつもりで行きましたから。ずっとリードしてました。
竜之介
うんうん、成長したねえ。
サカイエヒタ
ありがとうございます。やっぱり人間関係の絆を深めるには、バックパックっすよね。
カツセマサヒコ
その子弟関係っぽさもなんか鼻につく。

バックパッカー派の意見その3:「世界遺産を、家に見立てる」

竜之介
じゃあ、最後は僕かな。ちょっといいやつ書いたんですけど出していいですか?
サカイエヒタ
どうぞどうぞ。

竜之介
第二の我が家を、世界遺産に。

伊佐知美
同じチームなのに理解できない。
ありこ
家庭の問題になるから、ちゃんと説明ほしい。

竜之介
世界遺産って、ちょっとした「窪み」とかがあるじゃないですか。洞窟とまでは言わないけど、結構凹んでいて、ちょっと家っぽくなっているところ。
伊佐知美
ヨルダンのペトラ遺跡とかそうですね。
カツセマサヒコ
なんでそこ同意できんの。
竜之介
そこをね、「よし、ここ、家にしよう」って、決めていくのが趣味なんですよ。
サカイエヒタ
そういう話、先にLINEで共有しといてほしかった。
竜之介
同じチームならわかるでしょ? 窪みを見つけたら、そこでゆったり過ごすんですよ。で、次の日もそこに行けば、ただいま~みたいな空気になるでしょ。
カツセマサヒコ
ならないでしょ。
竜之介
なるよ! 旅行から戻ってきたときも、「あの窪み、今もちゃんとあるかな。誰かに取られていないかな」とか思うんですよ。これはもう、我が家でしょ?
ありこ
その窪み、私の家にもなるんでしょ?
竜之介
まぁ、そういうことになるよね。
ありこ
めっちゃ嫌なんだけど。
カツセマサヒコ
窪みひとつで夫婦仲が険悪になってる。

竜之介
でも、ツアーでいくと世界遺産見にいってもいられる時間一瞬だったりしますよね。
ありこ
ああ、それはいやだなあ。
竜之介
そうそう。そこらへんの意味では、バックパッカーいいよね
サカイエヒタ
うんうん。家にしなければ魅力だとおもう。
竜之介
家にしようよ。
ありこ
しないよ。
カツセマサヒコ
でも、「観光スポットをあらかじめポイントで抑えて、ゆっくりする」ってのは、確かにバックパッカーならではの贅沢だし、それを家と呼ぶのはなんとなくわかった。
竜之介
そう、それが言いたかったんですよ。観光スポットだけじゃなく、好きな場所で好きなだけくつろげるじゃん。それで水タバコとも出会って、ずっと吸っていたら水タバコ屋になってたからね。
早川大輝
人生変えちゃってるのはさすがにすごい。

旅行代理店利用派の意見その1:「何も考えなくてイイ」

カツセマサヒコ
ここから旅行代理店利用チームですね。

カツセマサヒコ
僕はね、何も考えなくてイイってのが、ポイント高いと思うんですよ。
わかる~!
カツセマサヒコ
たとえば「ウミガメが見たいです」って伝えたら、旅行代理店がぜんぶ決めてくれるじゃないですか。それ、最高じゃないですか?
サカイエヒタ
ええ? そのツアーに入って、ウミガメ見れなかったらどうすんの?
カツセマサヒコ
いる・いないはウミガメの気分によって違うから、そんなの当たり前です。ダメならダメでいいんです。
うっそ~~~~! もったいな~~~!
竜之介
それ、ツアーにしなければ、「もう一日伸ばして、明日見てみよう」とかできるじゃないですか。
伊佐知美
うんうん。なんで帰らなきゃいけないのかがわからない。
カツセマサヒコ
だからなんでバックパッカーは“旅行日程が無限に伸ばし放題”が前提なんだよ。

カツセマサヒコ
多くの人はサラリーマンですから。さも当たり前かのように「伸ばす」を選択肢に入れていますけど、世の中そんな人ばっかりじゃないんですよ。
伊佐知美
不思議だなあ。気にせず伸ばせばいいのになあ。
竜之介
ほんとそうだよねえ、もったいない。
カツセマサヒコ
新人類を見るような目で見るの、辞めてもらえます?

カツセマサヒコ
あと、ご飯もね、ツアーに付いてくると、悩まずに済みますから。最初から決まっていると、美味しいものだけ食べられてうれしい。
サカイエヒタ
海外なんて、まずいもの食べて思い出つくるのが醍醐味じゃないの?
カツセマサヒコ
何言ってるんだろうこの人。
竜之介
たとえばパスタとピザがおいしい店だったとして、パスタしか食べられなかったら、いやじゃない?
伊佐知美
そうだ。どっちも食べたい。
カツセマサヒコ
いや、その店で何がおいしいとか、わざわざ調べないですから。パスタがおいしければ満足です。比較はいらないし、余計な情報もいりません。
サカイエヒタ
うっわー、世界せま~~。
カツセマサヒコ
うるさいな。

旅行代理店利用派の意見その2:「目的がハッキリしている安心感」

ありこ
じゃあ次は私で。

ありこ
やっぱり目的がハッキリしてるから、安心できると思うんですよ。
早川大輝
わかる! 「目的も何もない」ってすごく不安。
カツセマサヒコ

そうそう。ゲームでもオープンワールドとか、どうしていいか分かんないもんね。

※オープンワールド
コンピュータゲーム用語のひとつ。舞台となる広大な世界を自由に動き回って探索・攻略できるように設計されたゲームのこと。

ありこ
私もオープンワールドのゲームは無理。
サカイエヒタ
なんで!? 絶対楽しいでしょ、オープンワールド。
カツセマサヒコ
だって端から端まで見ないといけないでしょ? そんなやり込み要素、要らないっすよ。一本道でいいです。
ありこ
村人に聞いたら秒で「ここに行け」って言ってくれるやつがいい。
カツセマサヒコ
マリオRPGくらい一本道が最高。

サカイエヒタ
目的がないと、移動手段も自由になって楽しいじゃん。ツアーだと全部決められちゃうし。
ありこ
それがすでにこわい。ボッタクリとか遭いそう。
サカイエヒタ
ああ、インドでタクシーに乗ったら、ニューデリーに永遠に着かなかったことありましたねえ。
竜之介
あれ面白かったねえ。
サカイエヒタ
竜さんが気付いてキレたら、運転手が「右腕が動かなくなった」とか言いだすの。
伊佐知美
その言い訳すごい。
サカイエヒタ
あのときは本当に大変だったけど、でもこうやってネタになるから、めちゃくちゃいい経験だったなって。
伊佐知美
うんうん、わかります~そういうの。
カツセマサヒコ
ああ、それ。そういう「後からネタになった」とか「思い返せばいい経験だった」とか、あえて狙うのがヘンなんですよ。
ありこ
そうそう。普通に楽しめばいいのに、なんでいちいちクエスト感求めてんのって思う。
竜之介
そこまで言う?

竜之介
いや、東京ではすでに安心した生活があるじゃないすか。僕はちょっとだけ、“安心できない世界”に行きたいんすよね。それが非日常だから。
伊佐知美
あーーーわかるーーー。
竜之介
「ちょっとだけ危ういけど、これどうなんだろう。あ、大丈夫だ、よかった~」ってぐらいの安心感に、カタルシスを覚えるんすよね。
サカイエヒタ
あーそうだなあ。本当にそれですねえ。
早川大輝
あー、わかった。わかりました。ちょっと喋っていいですか。
カツセマサヒコ
お、いけいけ! 言ってやれ。

旅行代理店利用派の意見その3:「旅にカタルシスはいらない」

早川大輝
ぶっちゃけ、まとめると、これじゃないですか?

早川大輝
旅にカタルシスやドキドキとか、いらないっす。

それだーー! それが言いたかったー!!!
竜之介
全然理解できない。
伊佐知美
じゃあ何が要るの?
早川大輝
いや、それがなくても楽しくないですか? 旅って。
カツセマサヒコ
楽しい。全然楽しい。わざわざストレス要素は要らない。
伊佐知美
じゃあもう、旅がそんなに好きじゃないんじゃなくて?
いや、そんなことはない。
早川大輝
旅自体はいいんじゃないですか? でも、カタルシスみたいなのは要らないなって思います。
竜之介
あんなにカッコよく「カタルシス」使えたの初めてだったのに。
早川大輝
たしかにツアーじゃないことで自由に動ける魅力があることはわかりましたけど、でも必要以上のストレス抱えるくらいなら、ツアーでいいやって感じっすね。
伊佐知美
淡々と言われると悲しい。

おわりに


こうしてバックパッカーと旅行代理店利用者の座談会はお開きとなった。

やってみてわかったことだが、お互い旅に関する価値観が異なりすぎて、決着はつけようがなかった。(その主な理由として、メンバーが頑固すぎたせいが9割である)

しかし、言い換えればどちらの旅を選んでも、良い点はあるということだ。

例えば旅行代理店を使えば、余計な不安やストレスを背負うことなく、また、交通手段に迷うこともそこまで多くなく旅を楽しめるし、バックパッカー的に全て自分でプランを組めば、好きなものを好きなだけ見て、より強く非日常を体験できるはずだ。

また、話していて感じたことだが、多くのバックパッカー経験者は、旅行代理店のツアーにも過去に参加したことがあるが、結果バックパッカーとして旅をすることを選んだ人が多い。だが、旅行代理店を利用している人の中で、バックパッカーを経験したことがある人はそこまで多くはないのではないか、ということだ。

何事も経験。少しでも興味があったり、憧れがあったりするのならば、バックパッカー的な旅を経験してみても良いかもしれない。

 

オマケ

あと、これさ。

「世界遺産」の「遺」ってこれであってるかなぁ…

違うね。
早川大輝
これ、「遣唐使」の「遣」だよね。
カツセマサヒコ
世界ケン産になってる。
ありこ
馬鹿感がすごい。
せっかく偉そうに言ってたのにな……。

現地の言葉を覚えることも大切だが、日本語ももちろん大切であることを共有できた。

おわり

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