食いしんぼうはドイツを目指す ゲーテ街道はおいしいものだらけのグルメ街道
世界有数の観光大国ドイツ。中世から続く街並みや多くの史跡を線で結ぶテーマごとのルートが150以上もあります。グリム兄弟とその童話をテーマとした「メルヘン街道」や中世の街や城を結ぶ「ロマンティック街道」などさまざまなテーマを通じて地域を紹介しています。中でも偉大なる詩人ゲーテが足跡を残した街々を結ぶ「ゲーテ街道」は観光もさることながら、街道沿いの地域に根ざしたご当地グルメや美食がたくさんあります。
ゲーテ街道って何?
本名ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ。1749年にフランクフルトの裕福な家庭に生まれ、幼少時から英才教育を受け6ヶ国語を習得。大学では法学を修めます。25歳の時に実体験をもとに執筆した禁断の恋愛小説『若きウェルテルの悩み』が空前の大ヒット。あのナポレオンをも夢中にさせ、エジプト遠征中に7度も読んだといいます。その後は自然科学分野にも関心を寄せ、地質学、植物学、解剖学、光学、色彩学などの研究でも業績を残す本物の超人です。
ゲーテ街道は、生誕の地フランクフルトから始まり、政治家として手腕を発揮したワイマール、学生時代を過ごし、代表作『ファウスト』の着想を得たライプツィヒ、そして街の美しさに魅了されたドレスデンなど、歴史と文化に彩られた9つの街を巡ります。その中でも、見逃せないグルメがある6つの街を紹介しましょう。
1 フランクフルト名物 ゲーテも愛した「グリューネゾーセ」
グリューネゾーセはフランクフルト周辺地域で食べられる郷土料理で、春を告げるハーブたっぷりの緑のソース。「緑の木曜日」と呼ばれるイースター直前の木曜に初物として食べるのがならわし。7種類のハーブを刻んで、サワークリームやつぶしたゆで卵などと和えて作ります。一般的にはジャガイモやゆで卵につけて食べますが、爽やかな風味が肉料理とも相性抜群。ゲーテもグリューネゾーセを「おふくろの味」と言って好んで食べたそうです。
フランクフルトでは毎年5月にグリューネゾーセフェスティバルなるものが開催され、期間中に街で一番おいしいグリューネゾーセを競うコンテストまで行われるほど。フランクフルトの人々は、この緑のソースを愛して止みません。
おいしいグリューネゾーセを食べるなら、フランクフルトの下町「ザクセンハウゼン」へ。自家製のリンゴ酒や郷土料理が楽しめる昔ながらの居酒屋が集まるエリアで、夜遅くまで賑わっています。シュバイツァー通りに面する郷土料理酒場「アドルフ ヴァーグナー」は2018年のグリューネゾーセコンテストで3位に入賞したお墨付き。1931年の創業以来、受け継がれてきたリンゴ酒と郷土料理が楽しめる老舗レストランでぜひご賞味あれ。
アドルフ ヴァーグナー
http://www.apfelwein-wagner.com
2 バロック都市フルダではゲーテゆかりのコースメニューを
ゲーテは生涯、実家のあるフランクフルトから終焉の地ワイマールに及ぶ街道を幾度となく往来しました。その度に必ず立ち寄ったのが、ちょうど中間地点となるフルダ。当時、交通手段として利用していた郵便馬車の都合で、フルダでは必ず1泊しなければならなかったのです。
しかしゲーテは、フルダの華美なバロック建築の街並みがあまり好きではなかったそうです。そんなフルダでの楽しみは、川を遡上してくるサケやマスの魚料理だったといわれています。ゲーテが好んで食べた料理を再現してコースメニューを提供しているのが、1904年創業の旧市街に立つ人気のブティックホテル&レストラン「ゴールデナー・カルプフェン」。
グルメレストランとしても定評があり、地元客も多く訪れています。名物の「ゲーテ・メニュー」は予約制のコースメニュー。サーモンのグリューネゾーセサラダ、ゲーテ母のレシピで作るコンソメスープ、ゲーテの好物だったフランクフルト風牛の煮込み、ワイマール風アップルケーキ。季節によりコースの内容が変更される場合がありますが、いずれもゲーテの好物に変わりありません。ゲーテを愛する人もそうでない人も満足のいく至福のメニューです。
ゴールデナー・カルプフェン
https://www.hotel-goldener-karpfen.de
3 エアフルトではご当地「テューリンガー」
テューリンガー地方は、州都エアフルトを中心とした旧東ドイツの地域。ドイツのほぼ中心に位置します。世界遺産のヴァルトブルク城が立つアイゼナハや、ゲーテが思想家シラーと親交を深めた街イエナ、そして壮麗な大聖堂とセヴェリ教会が立つエアフルトなど、街道沿いの街々に見どころが詰まっています。
ここでは迷わずテューリンゲン地方が誇る炭焼きソーセージ「テューリンガー」をどうぞ。ニンニクとハーブを練りこんだ香ばしい絶品ソーセージです。ドイツ中で愛されているソーセージですが、正式に「テューリンガー」と名乗れるのはテューリンゲンで作られ、規定の原料を使用していなければならない厳格なルールがあるのです。いかにもドイツらしいですね。レストランの他にも屋台で売られているパンに挟んで気軽に食べるテューリンガーも見逃せません。
4 ワイマールではゲーテ常連レストランでオニオンケーキ
テューリンゲン地方を代表する都市ワイマールは、歴史上の偉人たちが数多く暮らした街として知られます。20世紀にはデザイン学院バウハウス大学などが誕生し、文化都市をつくり上げました。ここはゲーテが人生のほとんどを過ごした街でもあります。26歳の時に招請され、ワイマール公国の枢密顧問官に就任しました。以来、政治家としての手腕を発揮し、ついには宰相にまで上りつめます。
ゲーテが暮らしていた家は現在、博物館として一般公開されています。『ファウスト』を完成させた立ち机もそのまま残され、息を引き取った寝室も見学できます。
ゲーテの家の隣に立つ、450年の歴史を持つ「ツム・ヴァイセン・シュバイン」はゲーテが足繁く通った郷土料理レストラン。ここで度々知人や友人と語り明かし、ワインを何本も空にしていたそうです。
ワイマールの名物は玉ねぎで、毎年10月には365年以上続く伝統行事、玉ねぎ祭りが開催されるほど。そんな玉ねぎがたっぷり入った「ツム・ヴァイセン・シュバイン」のオニオンケーキは、ドイツワインとの相性もぴったりです。ゲーテもきっとワインとともに好んで食べたことでしょう。
ツム・ヴァイセン・シュバイン
http://weisserschwan.de
5 ライプツィヒではファウストの舞台となったレストランへ行こう
テューリンゲン州のお隣ザクセン州のライプツィヒは、J.S.バッハやワーグナーを始め、世界に名だたる音楽家たちの息吹が今も感じられる街。若きゲーテがライプツィヒ大学で法学を学ぶ傍ら、足繁く通ったのが1525年創業のアーケード街にある地下の酒場「アウアーバッハス・ケラー」です。
ゲーテはこの酒場でドイツに古くから伝わるファウスト博士にまつわる伝説を知り、『ファウスト』第一部、主人公ファウストが悪魔に魂を売る場面でこの酒場を登場させています。それから100年余、ライプツィヒ大学に留学した森鷗外もこの酒場を訪れ、『ファウスト』を日本語に翻訳する構想を友人と語り合い、鷗外訳の『ファウスト』が生まれと言われています。店内を飾る壁画には、森鴎外も描かれています。
名物は1876年に作られたレシピを復刻させた「子牛のタルタル」。塩、コショウ、オリーブオイルのシンプルな味付けだからこそ、肉本来の旨味が味わえる逸品です。
アウアーバッハス・ケラー
https://www.auerbachs-keller-leipzig.de/jp
6 ドレスデン発祥クリスマスの伝統菓子「ドレスナーシュトレン」
ゲーテ街道の終着地となるドレスデンは、エルベ川に沿って広がる古都。壮麗な歴史建造物と、周囲の自然が織りなす美しい景観が旅人を魅了します。ゲーテもドレスデンを気に入り、何度も訪れていたそうです。特にエルベ川河畔のプロムナード「ブリュールのテラス」から眺める景観を「ヨーロッパのバルコニー」と称賛し、散策を楽しんだといいます。
ドレスデンはまた、クリスマスマーケット発祥の地といわれています。ここでは「シュトリーツェル・マルクト」と呼ばれ、1434年にマーケットが始まって以来、この名前で呼ばれています。シュトリーツェルとは、クリスマス菓子シュトレンを意味します。ドレスデンのシュトレンは「ドレスデナーシュトレン」といわれ、材料の分量が厳密に指定されているのです。
人々はシュトレンを薄くスライスし、少しずつ楽しみながら、クリスマスの到来を待ちます。時間をかけて食べることで、熟成による味の変化を楽しむこともできるのです。ドレスデンではクリスマスシーズンだけなく、一年中シュトレンを購入できます。本場のシュトレンはお土産にもきっと喜ばれるでしょう。
2019年のゴールデンウィークは最大10連休! このチャンスにゲーテ街道を旅して、美しい街並みとご当地グルメを堪能してみてはいかがでしょう?
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協力
ドイツ観光局
http://www.germany.travel/jp/index.html
ターキッシュ・エアライン
https://www.turkishairlines.com/ja-jp/
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