遺伝子検査で自分のルーツが分かる! 祖先の足跡を辿って旅にでよう3 ベトナム パフュームパゴダ編
遺伝子検査で自分の祖先のルーツを探り、その足跡を求めて旅に出る企画の第3弾。今回も検査結果の示すとおり、ベトナムはハノイに向かいます。今回目指すのは、パフュームパゴダ(Perfume Pagoda)。ハノイには数回訪れていますが、初めて聞く地名です。パゴダと言うにはおそらく寺院。パフュームだなんて、なんだかとても麗しい響き。そこはもしかして知られざる楽園のような土地なのかもしれません。さて、今回もルーツを感じることはできるのでしょうか。
パフューム・パゴダへはツアー利用が便利
調べてみたところ、パフュームパゴダはハノイの南60kmほどのところに位置する、13の寺院からなるベトナム仏教の聖地だということ。公共交通機関はなく、個人で訪れるのは難しいので、今回のハノイの宿となる「ハノイ エメラルド ウォーターズホテル&スパ」でツアーを手配してもらうことにしました。
事前にメールでホテルへツアーの予約をしたいと問い合わせしたところ、ホテルの担当者からは以下のような返答が。
「Actually , perfume Pagoda will be interested in Local people as they wish to go there to Pray the luckiness in their life .I strongly recommend you to enjoy Hoa Lu Tam coc instead which should be nicer .
どちらかというと、パフュームパゴダって、信心深い地元の人々が行く場所なんです。観光ならばホアルー・タム・コックの方が圧倒的に楽しいと思いますよ。ホアルーが絶対オススメ。」
非常に親切で有益なアドバイス。もし私が単なるレジャーを求めているならば、もちろんこのアドバイスに従うところですが、今回の目的は、ルーツを探ること。「アドバイスは大変ありがたいけれど、私にはパフュームパゴダに行かねばならぬ事情があるのです」と伝えたところ、とても快くパフュームパゴダの1日ツアーを予約してくれました。ランチ付きでUS40ドル。
朝8時頃、いくつかのホテルを回り各国からの観光客を乗せたバンが到着します。
目的地に向かう道中では、若くはつらつとした女性ガイドさんが流暢な英語で、ハノイあるあるを教えてくれます(ハノイではフォーよりブンチャーが好まれ、みんな行きつけの店を3軒は持っている、とか)。途中、お土産屋さんでトイレ休憩を挟み、さらに小一時間。ボート乗り場に到着です。
そう、パフュームパゴダは川の上流にあり、ボートで向かうのです。これには少しワクワクします。
私の乗ったボートの船頭さん。農家の女性が副業としてボート漕ぎをしているため、漕ぎ手は主に女性です。今は明るくとてもにこやかですが、後に大騒ぎします。
一瞬私たちも漕がされるのか? と思いましたが、すべて小柄な女性にお任せでOK。ゆっくりと上流に進みます。お祭りの時期はこの川が参拝に訪れる人々のボートで埋め尽くされるのだとか。
船旅はおよそ1時間。ちょっとお尻が痛くなったころに到着です。
参道を登り、森に隠された寺院を参拝
小船を下りて最初の寺、ティエンチュー寺院を見学。両脇に土産物店やレストランが並ぶ参道を登っていきます。しかし、暑い。2月の午前中で30℃を超しています。日傘や帽子、水は必ず持参しましょう。
汗ばんできた頃、寺が現れます。創建は15世紀。そのころからここに寺や神社が建てられはじめ、20世紀初頭には100以上もあったとか。今は13の寺を残すのみとなりましたが、敬虔な信者たちは山中に点在する寺院を数日かけて参拝するそうです。
入り口には狛犬ならぬ金のライオンが寺の入り口を見張ります。
と思ったら、極彩色の狛犬も。
五重塔のようなものもあります。ベトナム、中国、バリ、沖縄あたりの要素がミックスされた不思議な空間。
ドイツから来た年配のご夫婦は、ヴンダバーと連発していました。ワンダフルっていう意味らしいです。「なぜここに来たのか。仏教徒であるあなたたち日本人にとっても、この空間は特別なものに感じるのか」と目をきらきらさせて問われましたが、いささか私の英語力では返答に難しい。がんばってみはみたのですが「ハノイの文化にとても興味があったの。同じアジアでもここのカルチャーは日本のものとは全く異なります。とてもエキサイティングな体験だわ」と、ありていな返答になってしまいました。
あらためて見回してみると、あたりは湿度の高い濃密な空気に満たされ、寺院は森に隠されるようひっそりと建っている。あれ、これもジブリの○○のモデルとなった寺院って言ってもいいんじゃね? と思ったりします。
ガイドさんの英語が特徴的過ぎてどうにも理解できなかったのですが、こんな足型も。
聖なる石を持つ者がここに立つと、金のライオンの目からビームがでて追っ手を焼きつくし、空飛ぶ乗り物が現れるんじゃないか。
などと、熱暑と空腹で朦朧とする頭で空想に耽りはじめたころ、ランチタイムとの声がかかります。昼食は寺院の下のレストランで。大皿に盛られた料理をツアーのみんなで分け合います。野菜が多くてよろしい。前日も別のツアーに参加したというスイス人の女の子が言うことには「典型的なツアーのランチね」ということなので、ハノイ発のツアーの平均的なランチのようです。
ランチの後はいよいよパフュームパゴダへ。
巨大な洞窟の中に造られた、聖なる空間へ
パフュームパゴダへは、なんとケーブルカーに乗って行きます。船に乗ったりケーブルカーに乗ったりと、思ったよりいろいろな乗り物に乗れるツアーです。
到着してみてようやくわかったのですが、パフュームパゴダは巨大な洞窟の中にある寺院。洞窟は、階段を下りたところにぽっかりと広がっており、石段を一歩下りる毎に、辺りの空気がすっと冷たくなっていきます。
13の寺のうち、ここだけが自然の洞窟を利用したものだそう。入り口で拝んでから内部へと足を踏み入れます。
中はかなり薄暗く、ところどころに灯されているわずかな光を頼りに進みます。
天井から滴る水でいつも濡れているこの岩は「乳岩」と言われ、触れると子宝に恵まれるそう。そのときは全くなんの心づもりもなく流れで触りましたが、実はこの6週間後に妊娠が判明したので、もしかしたらこの石に絶大な効果があったのかもしれません。
ひんやりとした洞窟を出ると辺りの明るさに目がくらみます。階段を1歩登る毎に体に湿気がまとわりつき、空気は濃く重く、ボリュームを増す虫の声が脳に響き渡ります。たしかに、洞窟の中には、特別な空気が漂っていたような気がします。
帰り道はロープウェイに乗ってもいいし、参道を歩いて下ってもOK。歩けば40分くらいです。
ロープウェイの代金は片道しか含まれていないので、乗る場合は追加で支払います(6万ドン=およそ280円)。
参道の両脇には土産物店などが並びますが、祭りの時期以外は閑散としています。ただひたすら下るのみなので、ケーブルカーに乗ってもよいと思いますが、この日は電気系統のトラブルか、ときどき頭上に見えるケーブルカーはしょっちゅう止まっており、この暑さの中ケーブルカーに閉じ込められるのは若干地獄だなと思いました。
そんな感じで、小船にのって再び船着き場へ。行きと同じ女性が船を漕いでくれます。船着き場に戻り、チップを渡して帰ろうとしたところ、いきなり女性が大騒ぎ。チップが少ないとわめいているようです。
実は私は、行きと帰りが違う船頭さんだったら気の毒だと思ったので、行きに船を下りたときに1ドル渡し、帰りにも1ドル渡したのですが、彼女は、行きのことをすっかり忘れたのか、忘れたふりをしたのか、とにかく足りないとわめくのです。ガイドさんがやってきて「確かに彼女は渡したよ」と言うのだけれど聞く耳もたず。まあ、1ドル程度なので別にあげればいいのですが、ハッピーな気分にはならないので、チップはまとめて最後にあげることにしましょう。
最後に少し草臥れた気分になったものの、全体的にはなかなか楽しかったパフュームパゴダ。洞窟の中では確かに、普段は感じない崇高な精神状態の一端を見たような気がするので、もしかしたら私のDNAに刻まれたなにかが共鳴したのかもしれません。
文句なく楽しい街、ハノイ
そしてルーツだとかなんとかに無関係に楽しいのが、ハノイ。
まずは食事が安くて美味しい。ホテル近くにあるNEW DAYは、店の外にまでお客さんがあふれる大人気店。ハノイを中心に北ベトナムのあらゆる郷土料理が味わえます。
店員さんはあらゆる国籍の客に非常に慣れており、英語メニューもあるので注文に不便は感じません。
ブンチャー、揚げ春巻き、鶏の揚げ煮みたいなものを頼んでビールを飲んでも2000円程度。2人でも食べきれない量です。
New Day
https://goo.gl/maps/EkfMSPs3skaFCGYWA
また、洒落たカフェも点在します。市内に数店歩あるCong Café(コンカフェ)。セルフスタイルで飲み物を購入した後は、2階へ。テーブルや掘りごたつ式の席などがあり、思い思いにくつろぐことができます。
おすすめは、ヨーグルトコーヒー。一瞬どうなの? と思いますが、ヨーグルトの爽やかな酸味がベストマッチ。
Cong cafe
https://goo.gl/maps/V3fKhVef1rHacWuF6
そしてチョコレート好きにはあまりに有名なのがMaison Marou(マルー)。ベトナム産のカカオを使ったシングルオリジンのチョコレートが人気で日本でも人気です。店舗もとても洒落ていて、特にチョコレート好きでなくても一気にテンションがあがってしまいます。チョコレートには魔力があると思う瞬間です。
奥はカフェになっており、オーダーが入ってからショコラティエが仕上げる芸術的なケーキを味わうことができます。
こちらがシングニチャードリンクのココアとお釈迦様ケーキ。芸術的です。渦巻いているのは煩悩でしょうか。チョコレートケーキは12万5000ドン(約600円)。飲み物とケーキで昨晩のNew Dayの金額を超えてしまいますが、それはそれ、これはこれ。
マルーのチョコレートは小さな方で1枚9万ドン(約420円)。東京で買うよりずっとリーズナブルでおすすめです。
Maison Marou
https://goo.gl/maps/fWXvYhyXqa1wxzur6
うっかりさんにも優しい街、ハノイ
今回実は、一眼レフの充電器を忘れてしまって大ピンチと思っていたのですが、ハノイなら問題ありません。街角のカメラ屋には、サードパーティーの充電器がたくさん売っています。かわいい柴田理恵みたいな店員さんは慣れたもので、私の手にしたカメラを見るなり充電器を持ってきて、あなたの電池をちょっと貸してごらんなさいと電池をもぎとりコンセントへ。
無事充電できていることを確認したら、購入です。価格は700円弱。ちょっと無骨なのですが、もしものときのためにスーツケースにいれておいても良さそうです。
ということで、とても楽しかったハノイの旅。間違いなく、ハノイには私のルーツがありそうです。次回は最後の目的地、カンボジアはアンコールワットへ!
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