古代ローマの生活が見える世界遺産! ポンペイ遺跡を歩く際の見どころと注意点は?
ナポリの近郊に位置するポンペイ遺跡。世界遺産として登録されていることもあり観光地としての人気は非常に高く、南イタリアを旅行するなら必ず訪れたい場所と言えるでしょう。ただ、ポンペイ遺跡は非常に広大なため、しっかりと楽しむなら事前に見どころを予習しておくことが大切です。
ここでは、ポンペイ遺跡を歩く前に事前に知っておきたい見どころや、遺跡を歩く際の注意点などをまとめました。
最大の魅力は保存状態の良さ、当時の様子が垣間見える遺跡
ポンペイが遺跡となったのは79年8月24日のこと。10kmほど離れた場所にあったヴェスヴィオ火山が突如噴火し、街には一昼夜に渡って火山灰が降り続けました。翌25日には火砕流が発生し、すでに火山灰に覆い尽くされていた街を完全に飲み込んでしまいます。これにより、ポンペイは完全に地中に埋もれてしまいました。当時ポンペイには2万人ほどの市民が暮らしていましたが、街にとどまったり、逃げ遅れた人々約2千人が犠牲になったと言われています。
歴史的に見れば悲劇としか言いようのないこの出来事ですが、火山灰が街を隙間なく覆い尽くしたことで壁画や美術品の劣化が最小限に食い止められ、結果として街は非常によい保存状態のまま保たれることになりました。
当時の街並みがこれほどわかりやすく想像できる遺跡も珍しい
街並みや広場だけでなく、個人の邸宅や劇場、娼館などの建造物だけでなく、そこに描かれたフレスコ画やモザイクまでがきれいに残っているのは、世界的にみても非常に珍しいこと。遺跡の中を歩いていると、当時の生活が垣間見えるような気さえしてくるのが、ポンペイ遺跡の最大の魅力といえるでしょう。
ポンペイ遺跡(Parco Archeologico di Pompei)
住所:Via Plinio, 4, 80045 Pompei
電話番号:(+39) 081-8575347
営業時間:月〜金曜9:00〜19:30、土〜日曜8:30〜19:30(11/1〜3/31は月〜金曜9:00〜17:00、土〜日曜8:30〜17:00)
料金:15ユーロ
URL(英語):http://www.pompeiisites.org/index.jsp?idProgetto=2
ポンペイ遺跡見学は事前の予習が必須? 訪れたいスポットは?
ポンペイ遺跡は現在も調査中の遺跡ですが、その中ですでに発掘されているのは44ヘクタールほど。これは銀座(銀座1丁目〜8丁目まで)の面積のほぼ半分に相当する広さです。これだけの面積の中に、遺跡がぎっしりと詰まっていると考えると、その広さが想像できるのではないでしょうか。
そのため特に日帰りの場合、ポンペイ遺跡は計画的に回らないと時間オーバー、体力オーバーで見どころを逃してしまうことになりかねません。ポンペイ遺跡を見学するならおさえておきたいスポットを経路順にまとめてみましょう。(ゾーンは公式マップに記載されているゾーン(Regio)の番号を位置の目安として記載しています)
マリーナ門(Porta Marina:ゾーン7)
ヴェスヴィオ周遊鉄道のポンペイ・スカーヴィ駅そばの入口から入場すると最初に見えてくる遺跡。当時はこの門から500mほどの位置に海があったため、「海に続く門」の意味でこの名前がつけられました。
アポロ神殿(Santuario di Apollo:ゾーン7)
当時信仰の対象であったアポロ神を祭っていた神殿。中央に置かれた大理石の祭壇や周囲を取り囲む石柱が美しく、ポンペイ遺跡見学の序盤のハイライトとも言える場所です。修復のためしばらく閉鎖されていましたが、最近になってようやく公開されました(2018年10月時点)。
フォロ(Foro:ゾーン7)
当時は公共広場として使われて場所。周囲には法廷や神殿、市場、浴場などが並んでおり、街の中心地としての機能を担っていたと考えられています。ここからヴェスヴィオ山を望むことができます。
フォロ浴場(Terme del Foro:ゾーン7)
浴場は当時ポンペイで非常に人気のあった施設で、遺跡内にはいくつもの浴場があります。フォロ浴場はそのうちのひとつで、脱衣所やサウナ、水風呂などの設備を見ることができます。
秘儀荘(Villa dei Misteri:ゾーン6)
当時禁止されていたディオニソス信仰に関わる儀式を秘密裏に行っていたとされる建物。そのため遺跡から少し離れた場所にあります。一連の儀式の様子を描いたフレスコ画はポンペイ遺跡の中でも最も有名なもののひとつです。
牧神の家(Casa del Fauno:ゾーン6)
ポンペイの中でも有数の貴族であった人物の邸宅。入口にある小さな牧神の像とモザイク画が有名です。像の本物はナポリの国立考古学博物館に移されており、ポンペイ遺跡にはそのレプリカが展示されています。
娼館(Lupanare:ゾーン7)
当時のポンペイは大らかで、数多くの娼館があったとされています。ここはそのうちのひとつで、言葉が通じない外国人でも利用できるよう受けられるサービスが壁画として描かれています。
避難者の菜園(Oryo dei Fuggiaschi:ゾーン1)
避難中の人々が火砕流に巻き込まれた現場のひとつ。かつて人々が埋もれていた空洞に石膏を流し込み、固めたものが展示されています。子供をかばうように倒れる親や手をつなぐ男女の姿があり、当時の凄惨な様子が垣間見える場所です。
ヴィーナスの家(Casa della Venere:ゾーン2)
愛の女神ヴィーナスとその子供のフレスコ画が残された邸宅。秘儀荘のフレスコ画と並び、ポンペイ遺跡で最も有名な壁画のひとつです。絵の見事さもさることながら、実際に実物を目にするとその保存状態のよさに驚かされます。
円形闘技場(Anfiteatro:ゾーン2)
ポンペイ遺跡の一番東側に位置する闘技場。奴隷や捕虜たちによる闘いのほか、演劇など当時の市民の娯楽の場として機能していました。観客席だけでなく、剣闘士たちが通った廊下など舞台裏も見ることができます。
ポンペイ遺跡は本当に広い!見学の注意点は?
ポンペイ遺跡はとても広く、日光を遮ることのできる場所もほとんどありません。疲れて十分に見学できなかった……そんなことにならないためにも、事前にしっかりと準備しておきましょう。
水は必須、そのほか必要なものは?
遺跡内を歩き回るためには水分補給が必須です。特に夏は日差しも強くなるため、多めに水を持ち歩くようにしましょう。水は遺跡内にある売店のほか、入口周辺にあるお土産物屋などでも購入することができます。
このほか、夏はサングラスや帽子、日焼け止めも忘れずに持っていきたいアイテム。また雨が降る可能性があるときは雨具も持っていきましょう。雨が降ると足元が滑りやすくなるため、傘よりもレインコートがおすすめです。
レストランや売店、トイレの場所をおさえておこう
遺跡内には売店やレストランもありますが、2カ所しかないことに注意。歩くエリアによってはしばらく何も買えないなんてことにもなりかねません。入場前にもらえる遺跡の地図をあらかじめ確認し、トイレや売店の場所をしっかりと確認しておきましょう。
レストランは高速道路のサービスエリアのような雰囲気
レストランでは売店には水やジュースなどの飲み物のほか、パニーノ(サンドイッチ)やパスタなど簡易的な食事をとることができます。
出入口を確認して見学順路の予定を立てておこう
ポンペイ遺跡には3カ所の入口と5カ所の出口があります。効率的に見学するためにも、あらかじめ見学する順路の予定を立てておくといいでしょう。
おすすめしたいのはヴェスヴィオ周遊鉄道のポンペイ・スカーヴィ駅で下車後ポルタ・マリーナ門そばの入口から入場し、遺跡内を見学したあと東端の円形闘技場そばの出口を出てFS線のポンペイ駅からナポリへ帰る経路です。ポンペイ遺跡を横断するため、ほとんどの展示を見ることができます(見学時間の目安は4〜6時間ほど)。
ヴェスヴィオ周遊鉄道のポンペイ・スカーヴィ駅
時間的な余裕がない場合は、先ほどと同様ヴェスヴィオ周遊鉄道のポンペイ・スカーヴィ駅で下車後ポルタ・マリーナ門そばの入口から入場し、入口付近の遺跡を見学して同じ門から出るのをおすすめします。見どころの多くはこのマリーナ門付近に集中しており、これだけでもポンペイ遺跡を楽しむことができるでしょう(見学時間の目安は2〜3時間ほど)。
ポンペイ遺跡は国立考古学博物館とセットで訪れたい
ポンペイ遺跡を見学したあとは、ぜひナポリ考古学博物館にも足を運んでみましょう。実はポンペイ遺跡は野外博物館ということもあり、絵画や彫刻の中で特に重要なものはレプリカを配置し、移動可能なものは国立考古学博物館に収蔵されています。
スパッカ・ナポリを抜けた先にある考古学博物館
博物館にはポンペイ遺跡から出土した美術品だけでなく、かつてナポリ公国を統治していたブルボン家の財宝も展示されており、非常に見応えがあります。ナポリ観光の合間に、ぜひ訪れてみることをおすすめします。
ナポリ国立考古学博物館(Naples National Archaeological Museum)
住所:Piazza Museo, 19, 80135 Napoli
電話番号:(+39) 06-39967050
営業時間:月曜、水〜日曜9:00〜19:30(火曜定休)
料金:12ユーロ
URL(英語):https://www.museoarcheologiconapoli.it/en/
当時の生活を想像するのが楽しい遺跡
古代ローマ時代の生活が垣間見えるポンペイ遺跡。遺跡の中を歩いていると、思った以上に大らかでゆったりとした当時の生活が想像でき、思わずくすりと笑みが漏れてしまいそうな瞬間が何度もあります。遺跡や博物館は小難しいと苦手意識を持っている人でも、ポンペイ遺跡ならきっと楽しめるはず。南イタリアを旅行する際は、ぜひ訪れてみてください。
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