築地市場は、昭和10年(1935年)に開場しました。元々この土地は、地名のとおり江戸時代初期に埋め立てられた「築いた土地」です。武家地として発展し、築地川を中心に問屋街として栄えましたが、幕末のころに外国人居住地となり、異国文化を取り入れながら、発展を遂げました。
その後、大正12年(1923年)の関東大震災によって焼失した日本橋魚海岸が移転して、築地海軍技術研究所用地に建てられたのが東京都中央卸売市場築地本場です。アジアでは小規模な魚市場が一般的なのに対し、築地市場は東京のど真ん中に位置し、街の人口の増加とともに世界でも最大級の魚市場となりました。
現在では、都民の台所といわれ世界最大の水産物流通量を誇る築地市場がこの町を代表する存在となりました。新鮮な魚介類と魚製品、卸売りや、マグロの競りでも有名です。急激な発展と観光客の増加から、市場は常に人と活気で溢れています。その見学者の増加により一時は観光客の入場自体が問題となりましたが、現在は規則を厳しくし、制限を設けることにより混乱を緩和しました。
乳幼児やペットを伴っての入場、サンダルやハイヒール等の不安定な履物での入場、スーツケース等大きな荷物を持っての入場は禁止されています。場内は完全禁煙で、商品を触ることは一切禁止となっています。市場はあくまで業務施設ですので、仲買人や取引業者の方たちの業務に支障がでないよう、十分に注意して行動してください。
しかし、ルールを守ればできることは沢山あります。勝どき門入り口横の「おさかな普及センター」1階にて受付をすると、早朝5時25分または5時50分から30分間、マグロの競りを見学することができます。仲買人たちが商品を見極めて値段を交渉し、勢いよく商品を引き取っていく様は、喧騒と熱狂が入り混じる不思議な空間です。
競りが落ち着くと、場内市場には日々全国から集まってくる様々な生鮮食料品や海藻など何トンもの商品が売り出されます。フラッシュ撮影は禁止ですが、写真撮影は可能です。場内は魚のにおいで溢れていますので、ご注意を!
場外市場は、一般の人が新鮮な魚や食品、台所用品を調達するのにはもってこい。関東大震災による被害で築地本願寺境内の墓地が和田堀へと移転し、そこに水産物商などが入ってきて自然発生的に発展した市場です。ここでは、早朝5時より世界で最も新鮮なお寿司を味わうことができます。商店は午前で閉まってしまいますので、観光の際はかならず早起きして朝一番に訪れてください。
市場への入場は無料で、日曜、休日といくつかの水曜日は休業日となっています。築地市場は、施設の老朽化と狭隘化のため豊洲新市場への移転が決定したため、移転後の雰囲気は大きく変わってしまうでしょう。移転の前に、高層ビルの間にレトロな古き町並みが並ぶ都心のサムシングオールドを味わえる築地に足を運んでみませんか。
市場までの交通アクセスは、都営大江戸線「築地市場駅」A1出口より徒歩1分、東京メトロ日比谷線「築地駅」1番、2番出口より徒歩1分です。